一般社団法人阪神医療福祉情報ネットワーク協議会設立(第544号 平成27年4月1日)

(第544号 平成27年4月1日)
尼崎市医師会副会長 東 文造

 小雨ながらも春の気配を感じる3月14日土曜日の午後、都ホテルニューアルカイックにおいて、阪神医療福祉情報ネットワーク協議会設立総会が行われました。地域医療再生事業として運営されていた「h-Anshinむこねっと」は、27年4月以降一般社団法人阪神医療福祉情報ネットワーク協議会で運営される予定となっております。その運営主体であるネットワーク協議会を設立をさせるための総会が開催されました。
阪神医療福祉情報ネットワーク協議会設立総会(敬称略)
1開会:司会は、橋本創(兵庫県民間病院協会東阪神支部長)が行いました。出席数確認の上、総会員数213名のうち計170名(出席36名、委任状63名、書面表決71名)で過半数に達している確認され総会は成立しました。
2設立発起人(医療IT化ワーキング会議)代表挨拶:黒田佳治(尼崎市医師会長)
3議長及び議事録署名人の選任:黒田佳治(尼崎市医師会長)が議長に選任され、議事録署名人には、高義雄(芦屋市医師会長)末岡悟(宝塚市医師会長)が選任されました。
4議決事項
 第1号議案:法人設立の趣旨について
 第2号議案:定款(案)ついて
 第3号議案:役員の選任ついて
 第4号議案:会費等の賦課徴収について
4議案とも挙手多数にて議決され、30分程で設立総会は終了致しました。

阪神医療福祉情報ネットワーク協議会の平成26年度第1回理事会
議題
(1)会長・副会長の選出:会長として黒田佳治を、副会長として、藤原久義(県立尼崎病院長)大江与喜子(西宮市医師会長)橋本創(兵庫県民間病院協会東阪神支部長)を選出されました。
(2)定款施行細則、諸規定等について:原案通り承認
(3)副会長の職務分担について:原案通り承認
(4)実務担当者会議(臨時)の設置について:ゲートウエイ型代表として斎田宏(県立尼崎病院地域医療連携部長)宮本正喜(兵庫医科大学)アップローダ型代表として合志明彦(合志病院長)、参照型代表として橋本創(兵庫県民間病院協会東阪神支部長)黒田佳治(阪神医療福祉情報ネットワーク協議会長)の5名で設置されることが承認されました。
(5)各市医師会拠出金について:各市の拠出金は運営費用に充てるので、参加会員の数が少なければ取り崩す可能性もあるので、各市とも会員数アップをお願いしたい。会費で運営出来て余剰金が出れば、返還の可能性もあります。
(6)顧問について:西上三鶴(阪神南県民センター長)多木和重(阪神北県民局長)を承認。
(7)事務局体制について:法人化に伴い独立した事務局設置が必要となりますが、今まで通り尼崎市医師会から事務局員を配置する予定です。その為には出向契約が必要となります。
(8)平成27年度第1回理事会開催日
開催日案2 平成27年4月23日(木曜日)14時で決定されました。
その他として、次回理事会で入会金賦課開始時期(入会金なしのキャンペーン期間の設置)を検討することになっているので、4月1日から次回理事会4月23日までは、入会金は賦課しない事を決定しました。
以上、平成26年度第1回理事会で承認されました。

記念講演会
 引き続いて記念講演会が行われました。司会は、兵庫医科大学 宮本正喜教授が行いました。
 基調講演はNPO法人「天かける」の理事長である伊藤勝陽先生に〝ICT利用による医療介護連携〟についてお話し頂きました。
 尾道に於いては、地域医療における退院前ケアカンファランスが熱心に行われており、いわゆる尾道方式と呼ばれています。兵庫県立大学教授筒井孝子教授によれば、尾道の地域包括ケアシステムの今後の強化すべき点はICT化とのご意見の元、総務省実証事業として2011年に地域連携協議会が始められ、地域医療・介護連携システム運営協議会に発展しました。そのシステム基幹は日本電気株式会社(NEC)の地域医療連携ネットワークサービス ID-Linkで、2基幹病院と診療所、歯科、薬局、介護在宅支援施設計128施設で運営されています。そこで閲覧できる内容は、退院時サマリー、地域連携パス、画像情報、処方、注射、検査、コメントとなっています。ICT利用パターンとして1.過去の診療情報の閲覧 2.退院前カンファレンス利用 3.紹介後の経過把握 4.逆紹介後の適切な医療提供・経過観察 5.高度医療機器の利用と閲覧 6.調剤薬局での利用(病薬連携、薬薬連携) 7.在宅での療養状況が挙げられます。
 尾道式のケアカンファレンスの特徴は、必ず退院前にケアカンファレンスを行い、ケアカンファレンス前に在宅チームが病棟診察を行っている事です。これは、訪問看護の実力、急性期病院の努力と実力、開業医のチーム医療の成果として評価しています。
 今後は、高齢化の進展に伴い、医療・介護の連携の重要性が増しています。そのため、インターネット接続環境下であれば安全にいつでもどこからでもモバイル端末でデータの参照・入力が可能な〝ビロードケア〟と名付けたシステムを作りました。これはVPNを使っているのでセキュリティが高く、個人情報保護には配慮されております。一般的に情報流出がどこで起きるのかと言えば、閲覧施設から漏れる可能性が高いので、情報流出予防のためのハンドブックを作成しました。何れにしても、紙ベースであろうとICTであろうと、まずは顔の見える関係が重要だと思います。
 以上が講演内容で、講演後の質疑で、ランニングコストについての質問がありました。会費として基幹病院が月98000円、かかりつけ医980円、薬局980円で、医師の高齢化に伴いITリテラシーが高くない事もあり、年間の不足分700万円を今後行政にお願いする積りだとの事でした。今後の他地域の連携についての質問は、ID-Linkを使っているところとは簡単に行え、46都道府県のうち36県が使用しているので、今後ID-Link研究会で検討していくとの事でした。
 介護に関する質問では、医療が介護を纏めていくという考えとの事でした。また、この楊なネットワーク利用のメリットは、使う人のメリットではなく、患者さんのメリットを考え、今後も訴えていくとの事でした。
 最後に閉会の辞として、橋本創ネットワーク協議会副会長が以下のように述べられました。
 〝阪神医療福祉情報ネットワーク協議会は発足したばかりで、閲覧権は今は医師に限定しています。今後協議会内に医療介護連携委員会が設置されますが、そこで検討の上歯科医師、薬剤師に拡げ、その後に在宅に発展させていきたいと思っています。