人生の最期まで自分らしくお家で暮らし続けるために 「尼崎市在宅療養ハンドブック」の活用へ (第581号 平成30年5月1日)
2018/06/04(月)
人生の最期まで自分らしくお家で暮らし続けるために
「尼崎市在宅療養ハンドブック」の活用へ
地域包括ケア・勤務医委員会 担当理事 齋田 宏
この2月に、尼崎市医師会から「尼崎市在宅療養ハンドブック」が先生方のお手元に届いているかと思います。このハンドブックについて、簡単に経緯などをご紹介させていただきます。
超高齢社会・多死時代を迎えた今、「治し、そして、支える医療」が提唱され、それに伴いかかりつけ医による在宅医療の普及が求められています。
一方、市民への意識調査では、多くの市民方が、医療や介護が必要な状態になっても、入院や施設入居するのではなく、住み慣れたお住まいで自分らしく最期まで暮らしたいと思っているにもかかわらず、ご存知のように、実際には病院で亡くなられる方が約8割を占めているのが現状です。
そのようななか、尼崎市医師会や行政、および、尼崎市医療介護連携協議会では、在宅医療の普及を目指して、多職種の医療介護専門職がチームを組んで、在宅療養を受けられる患者さんや家族の方を支援しています。また、市民・患者さんとその家族に対して、重篤な状態となっても、治療の場の選択として入院医療だけでなく在宅医療があることを提唱・啓発をおこなってきました。
「これから先、医療介護を必要とする重篤な状態となっても、治療の場の選択肢として、入院医療だけではなく在宅医療があること」を市民・患者さんとその家族に知っていただくために、この度、尼崎市医療介護連携協議会では、「尼崎市在宅療養ハンドブック ~最期まで自分らしく暮らし続けるために~」を発行しました。
尼崎市行政や尼崎市医師会だけでなく、歯科医師会、薬剤師会、ケアマネ協会、訪問看護ステーションなど協議会参画の多職種17団体が、時間をかけて意見を交換しながら住民目線で作成したハンドブックです。
今年改訂された「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」の手助けになるものと考えています。
《「尼崎市在宅療養ハンドブック」の概要と特徴》
1)在宅療養を支える様々な支援者(職種)とそのネットワーク
2)在宅療養の実際について(メリット・デメリット、病状や医療介護の内容、必要な費用概算など)
3)最期まで自分らしい暮らしを続けるために、自分の意思表示、家人・知人など周囲と話し合い情報を共有することの必要性(Advance Care Planningの提唱)
4)よくある質問(在宅での心配事、看取りなど)に対してQ&A
5)ハンドブック編集委員が、在宅医療での実際の体験をエピソードとして挿入
など
単に、患者さんにハンドブックをばら撒き配布するのではなく、日常診療にて先生方が在宅医療を導入したい患者さんや在宅医療を躊躇されている患者さん家族の方に、先生や看護師さん自らがこのハンドブックを使ってわかりやすく説明し手渡してあげてください。
配布資料ではなく、「説明ツール」としての活用を期待します。
※「尼崎市在宅療養ハンドブック」を必要とする先生は、尼崎市医師会内“あまつなぎ”(Tel 06-6423-9916)または、地域包括支援センターにご請求ください。