会長就任のご挨拶 ― 所信表明 ― (第607号令和2年7月1日)

会長就任のご挨拶 ― 所信表明 ―

尼崎市医師会会長 八田 昌樹

 
この度、令和2年6月25日に開催された尼崎市医師会第9回定時代議員会において、第17代尼崎市医師会会長に選出していただきました八田昌樹です。歴史と伝統のある尼崎市医師会の会長に選ばれたことは、身に余る光栄であると同時にその重責に身の引き締まる思いです。

尼崎市医師会は、今年で設立104年目を迎える歴史と伝統のある医師会です。医師会として市民のために地域医療に貢献することはもちろんのことですが、帰属意識を持った医師会員にとって納得できる活動を行い、医師会に入っていて良かったと感じてもらえる医師会でありたいと考えています。
良き伝統を引き継ぎ更に発展させるために、今期の執行部に課せられた問題は山積していますが、先ずは、この100年に一度といわれる新型コロナウイルス感染症の対策に尽きると思います。パンデミックに猛威を振るったこの新興感染症は、尼崎市でも3月10日に初めて感染者が確認されてから46名の患者が発生しました。しかし、この3週間以上1名も新規発生はありません。これはひとえに尼崎市医師会員の皆様のご協力のおかげです。県立尼崎総合医療センターは「新型コロナウイルス感染症重症等特定病院」として重症患者の入院医療を行い、関西労災病院及び民間病院、急病診療所も「帰国者・接触者外来」や「発熱外来」を担って頂きました。また、市長の要請を受けて医師会と保健所が協議を重ね、全国的にもいち早く4月16日から「PCR外来」を開設しました。びっくりするほど多くの医師会員に手挙げをして頂き、円滑な運営が可能になっています。現在、緊急事態宣言も解かれ、やや収束傾向にありますが、今後の波(第2波、第3波)に備えて、また、インフルエンザ流行の季節に備えて対策を講じる必要があります。現行の新型コロナウイルス感染症対策会議とは別に、今後の感染爆発と医療崩壊を防ぐために「新型コロナウイルス感染症等特別委員会」を設置し、医療を基盤としたエビデンスに基づく新興感染症に対する医療の構築を目指したいと考えています。
地域医療構想はこの2年間で進捗しましたが、阪神圏域における北と南の病院環境の違いによる温度差(2次,3次救急病院が阪神南圏域に集中している。川西市は市立池田病院、尼崎市においては園田地区のように市立豊中病院との連携が今までも強いという県境の問題)、近隣地区の公的病院の合併(県立西宮病院と市立西宮中央病院の合併で、必ずしも病床削減にならない。また循環器救急の開設による地域での過剰現象と民間病院への病床削減、近畿中央病院と伊丹市民病院の合併の動向)等色々な問題がありますが、尼崎市としてのより良い医療提供体制を構築していきたいと思っています。
地域包括ケアシステムは、尼崎市医療介護連携支援センター(あまつなぎ)を中心に、より一層多職種連携(医師、歯科医師、薬剤師、看護師、及び介護、福祉に携わるスタッフ等)を進めて医療と介護を充実させていくつもりです。
懸案となっている財政問題ですが、昨年度から各種補助金の減額(地区会、医会、クラブ)、執行部役員の出務費の減額、各種フォーラムの整理統合、ペーパーレス化、入会金収入の一般財源化等により、わずかながら効果を認めています。まだ、予断を許せない状況ですが、できればこれ以上会員の皆様にご負担をかけずに乗り切りたいと考えています。
新医師会館建設についても長年の懸案となっています。限られた資金での土地取得(立地条件の良い場所は資金繰りが難しい、競売の場合に時間的制約があるので用地取得に係る代議員権限の理事会への事前付与)、時代の変化による規模の縮小(現在も理事会等Web会議を行っており、ホール・大講堂等施設の規模の見直し)、休日夜間急病診療所の早期建て替えによる医師会館との合築(休日夜間急病診療所は老朽化と耐震問題があり早期建て替えが必要です。新医師会館は基本的に休日夜間急病診療所と独立して考えていますが、前述のように好立地で建設するためには、尼崎市との連携による合築も再考する必要があるのではと考えています。)等、解決が困難な問題ばかりですが、何とか実現に近づきたいと存じます。

私は開業して16年になりますが、伝統のある尼崎市医師会に所属して本当に良かったと感じています。「和をもって尊しとす」、「学閥を作らず」という偉大な先輩方から受け継いだ良き伝統を継承し、会員の皆様が尼崎市医師会員で良かったと思っていただけるように、執行部一同、会務を遂行していく所存ですので、ご支援ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。