「第10回 あまがさき在宅医療介護塾 開催」 (第627号令和4年3月1日)

第10回 あまがさき在宅医療介護塾 開催 2・17

 
地域包括ケア・勤務医委員会委員長 内藤 武夫

 
2月17日、表記の第10回あまがさき在宅医療介護塾が夏秋理事の司会のもと開催されました。詳細については、あまつなぎ小林主任コーディネーターからの報告をご一読ください。
当委員会では、「かかりつけ医」についての問題点がどのようなものか考えるために、広報委員会に「尼医ニュース」の紙面の提供をお願いして、紙面上で多職種の方々、特にその代表者ではなく現場の方々のお考えを伺い、このお考えに対する委員会の委員・担当理事・副会長・会長の考えを述べるという連載を続けています。
今回の塾では、連載でいただいた多職種の方々のお考えを知った上で、医師側から発信を行い、多職種の方々の意見を伺い、そのご意見に対して医師側がお話しするという会でした。
30名と多数の医師にご参加いただいたこと、また、あまつなぎのアンケートに多数の建設的なご意見やご感想を頂戴し感謝しているところです。ご参加していただいた聴衆の皆様には少しでも「かかりつけ医」ということに意識をいただけたのではないかと思います。
こうした意見交換が医師と医師以外の多職種の人たちとの相互理解の一助となり、当市の地域包括ケアがますます円滑になればと祈念しています。
この会を設営していただいたあまつなぎのコーディネーターの方々に感謝いたします。
最後に、この度の塾の議論の内容に関して、個人的な意見を付記させていただきます。
尼崎市にふさわしい「かかりつけ医」像とは何か?が議論されました。まず、医師一人ひとりが心の内にもつ「かかりつけ医」という考えと、地域包括ケアシステムの中での一構成員としての「かかりつけ医」という考え方は異なった視点からの「呼称」だと考えた方が良いのではないでしょうか。今回の塾でもお話があったように地域包括ケアの一構成員としての「かかりつけ医」は何科の医師でも可能です。個々の医師自身の守備範囲を超えた場合に、如何に潤滑に専門医に橋渡し、もしくは意見を聞き対応できるのか、医師以外の多業種と意見交換し、患者(介護側で言う利用者)の医療を通じた生活を安寧にする能力を持てるのか(我々医師は教育という言葉を使いがちですが、教育ではなく相互理解ということです)が必要条件なのだと思います。また、多業種間の素早い連携のためのツールの一つの代表があまつなぎが主導して導入したバイタルリンクの活用だと思います。尼崎市が地方都市に比較して医療・介護資源が潤沢もしくは潤沢すぎるところでの問題点、例えば、医療介護側では無理な囲い込み・患者側では過剰な選択権の行使があるところでの医療介護連携の円滑な行使に対してどのように対応するのか?例えば、基幹病院退院時の入院前の「かかりつけ医」との連携。訪問診療時の「かかりつけ医」と特に専門医との連携などの課題が今回の塾でも提示されています。こうした一つ一つの課題の解決に当委員会が何かお役に立てればと考えているところです。また、話題になりました「かかりつけ医」と「主治医」との相違点ですが、介護保険の医師が書く書類を主治医意見書と呼ぶように、「かかりつけ医」と「主治医」の間には基本的に差がなく、あまりその差を厳密に考えないほうが良いと個人的には思っています。